Tカードはポイントを貯めたり使えたりする加盟店が多いので利用者には便利ですが、実は加盟している企業側にもメリットがあるのです。
Tカードはもともとレンタル店「TSUTAYA(ツタヤ)」の会員証です。
その会員証には年齢や性別などの個人情報が登録され、使えばレンタル・購買履歴などのデータが残ります。
一般のポイントカードは個人情報を登録していないから、細かい購買履歴などのデータは残りません。
Tカード | 一般のポイントカード |
---|---|
年齢や性別を登録 | 年齢や性別の登録なし |
購買履歴が蓄積 | 購買履歴なし |
このTカードで得られる購買履歴などのデータが、企業にとっては喉から手が出るほど欲しい情報なのです。
そこで、毎日新聞、カメラのキタムラ、ENEOS、ファミリーマート、牛角、ドトールといった大企業でも自社のポイントカードをやめて、Tカード加盟店になる企業が相次いでいるのです。
「CCC」本社にはTカードで集まったデータを分析する部署があります。
どんなことが分かるかというと、たとえば、ある店のコーヒーの売り上げ。
ブラックコーヒーはよく売れていて、ブレンドコーヒーは人気がないといったことがTカードユーザーの購買履歴から分かります。
しかし、お客さんが何回買っているかというデータを加えると、ブラックコーヒーはよく売れているが、リピートしている人は少ないということが分かりました。
さらに、ブレンドコーヒーを買っている人は少ないがリピート率は一番高いということも分かりました。
この結果から、売上数は少ないがファンが付いている商品(今回の場合はブレンドコーヒー)はその店に残しておかなければならないという判断ができるのです。
コンビニのファミリーマートは2007年にTカードに加盟しました。
ファミマでもTカードから得られる購買履歴などのデータを活用しています。
たとえば、レジで支払いの際にレシートに印刷されて配られる割引券。
実は、Tカードの購買データを瞬時に使い、その客が普段買っていない商品の割引券を出しているというのです。
つまり、購買履歴により個別に違った割引を配布しているのです。だから、お客によって配る割引券の内容はそれぞれ違っているのです。
ファミリーマートのマーケティング室担当者は次のように語ります。
「どんな利用状況なのか、どんな物を買っているかということがカード会員なら分かりますので、そのデータを見ることでもうすでにその商品を買っている人へはあえて販促しません。今まで買ってくれていない人にアプローチをするべきなので、そういう人にだけクーポンとかポイント2倍とかのキャンペーンを打つとかしています。」
ファミマをよく利用する人は年会費無料のファミマカードを利用すれば、割引券付きのレシートをゲットすることができますよ!
「今日は何が出るかな?」的にファミマでの買い物が楽しめそうですね。
Tカードのデータを使い業績を伸ばしたのがファミレスのガストです。
ガストではTカードで分かるリピート率を参考にメニュー開発をしています。
たとえば、ナポリタンの場合、もともと販売数が高い商品だったので課題があるとは意識していませんでしたが、分析の結果、リピート率が高くないということが分かり、いちから見直しました。
そして、Tカード会員のアンケートを分析すると、麺に不満を持っている客が多いことも分かりました。
そこで、こしのあるもちもちした麺に改良した結果、リピート率が上がり、売り上げが倍増したのです。
これぞまさに、Tカードがもたらした成功です。
すかいらーくの谷真社長は次のように語っています。
「我が社ではこの3年間で非常に業績回復してきている基本的な根幹を担っているデータであり、顧客情報であると。」